ダイエットの目的は、カラダが貯めこんだ中性脂肪(体脂肪)を減らすこと。これに異論はないと思います。

減量できるのは、食事で摂るカロリー以上にカロリーを消費しているときです。この状態を「アンダーカロリー」といい、反対に使う以上に摂りすぎている場合は「オーバーカロリー」というそうです。フィットネスやボディビルの専門家、愛好家はこの言葉をよく使います。

僕は専門家でも愛好家でもありませんが、わかりやすい表現なので、このサイトでもこの表現を拝借しようと思います。


食事で摂るエネルギー(カロリー)の源泉は、炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質です。でも、どの栄養素由来のカロリーでも、オーバーカロリーのエネルギーは体脂肪としてカラダに蓄えられます。

一方アンダーカロリーにすると、その日使うエネルギーの埋めあわせは体脂肪とカラダを構成するタンパク質の一部でまかなわれます。脂肪だけを狙い撃ちにする減量法は、いまのところ発見されていないようです。

だから、減量をはじめると脂肪と筋肉が両方とも落ちて、体重が減少します。

実はダイエットの難しさ、裏を返すとリバウンドしやすさは、オーバーカロリーだと体脂肪だけ増えて、アンダーカロリーだと体脂肪と筋肉が同時に減る、というカラダの仕組みに根本があるように思います。

そこでエクササイズが重要だ、と考えられているのでしょう。


そのことを、以下でわかりやすく説明してみます。

筋肉は肝臓についで、脳と並ぶカロリー消費機関です。ゆえに筋肉量の減少は、カラダが必要とするカロリーの減少に直結します。脂肪の減少もカラダの必要カロリーをいくらか減少させますが、筋肉の比ではありません。

カラダに必要なカロリーが減るということは、ダイエットを強化しないといずれオーバーカロリーになることを意味します。理屈では減量を続けると、アンダーカロリーにするために食事で摂れるカロリーがスパイラルに減り続けるわけです。減量が進むと体重が減りにくくなるのは、このことも理由のひとつかもしれません。

目標体重になればアンダーカロリーを止めてカロリー収支をトントンに戻します。ダイエットの目的を達成するのには、このタイミングがとても重要です。


僕たちの遺伝子は、まだ飢饉を生き抜いてきた先祖と同じだそうです。食べられないのが当たり前の環境に適応できるようになっていて、中性脂肪をカラダに蓄える能力は、代々命をつないできたカギになっています。

だから、脂肪を標的にした減量とかダイエットは、種の保存という本能に対する反逆行為だ、ともいえるでしょう。

それゆえにダイエットを継続していると、カラダはあの手この手で減量に抵抗するようになります。順調だった減量が滞る停滞期は、カラダの抵抗が成果をあげはじめたサインとも言えるでしょうし、何かのきっかけで食欲が爆発してしまうのも、精神力が弱いせいではなく、人間はそうなるようにつくられているからだ、とも言えます。

カロリー収支をバランスさせるタイミングが来るころには、このカラダの防衛反応が相当高まっているでしょう。その中で収支トントンの食事量を見極めて、その食事量を守って生活が続けられるように、心もカラダも準備ができていないといけません。

準備ができていなければ元の生活、元の食事に戻ってしまい、いわゆるリバウンドすることになってしまいます。

カラダは筋肉が落ちていますから、ダイエットと減量のスタート時点よりも筋肉全体で使うエネルギーは少なくなっています。しかし、オーバーカロリーで自然に増えるのは体脂肪だけ。筋肉はだまっていたらスタート時点の筋肉量には戻りません。

だから、リバウンドして体重が元に戻ったときは、たいていスタート時点よりも体脂肪がふえて筋肉が減っていることになります。

同じ体積の脂肪と筋肉は、筋肉の方が重く、同じ重さの脂肪と筋肉では、脂肪の方が大きくみえます。だから同じ体重まで戻ったら、前よりも太ったように見えます。さらにカラダが使うカロリーが減っているので、元と同じような食事をしていると、体重が以前より増えてしまうとしても不思議ではありません。

これが多くのダイエット経験者にリバウンドが起こる理由です。

しかし、減量中からエクササイズをして筋肉を鍛えていると、使われる筋肉は落ちにくくなりますから、同じだけのアンダーカロリーならば、筋肉が落ちない分は体脂肪からエネルギーを補うようになります。

エクササイズで筋トレ系のことに多く取り組むなら、筋肉の落ち方をなお緩やかにする効果もあるそうです。かつては脂肪燃焼を効果的にするために、減量には有酸素運動系がよいと考えられていましたが、最近はカロリーイズカロリーともいわれていて、運動でダイレクトに脂肪を燃やさなくても、筋肉が維持されている分は脂肪の分解でエネルギーが補完されるとみられるようになっています。

どんなタイプのエクササイズであっても、しないよりは消費カロリーを増やすことができ、しないよりは筋肉の落ち方を緩やかにすることができます。すると、カロリー収支をフラットにするタイミングでは、エクササイズしないより筋肉量が多く残っているでしょう。

すなわち同じ体重まで減量した場合、エクササイズなしで落とすのとエクササイズしながら落とすのでは、カラダが必要とするカロリーは後者の方が大きくなります。つまり、減量すればカロリー収支がフラットになる食事量は下がりますが、筋肉量があるていど維持できているなら減らす量は少なめで済みます。

「食」から得られる満足度は、もっと摂取カロリーを下げないといけない場合よりも高く維持できるでしょう。運動する習慣が身についていれば、仮に食欲が爆発してしまってもリカバリーできる可能性は高まります。


つまり、エクササイズはリバウンドへの抵抗力を高める効果が期待できるというわけです。


ここまで、エクササイズの意義について書いてきました。でも、僕は特別に運動やエクササイズを取り入れずに減量したいと思っています。

とはいえ、エクササイズをするのにわざわざ時間とお金を使いたくないというだけのことなので、通勤時の電車で座らないようにするとか、自宅から駅までの歩くスピードを早めるとか、いままでの生活の中にエクササイズ的な何かを取り入れることを拒否するわけではありません。

ちょこちょこそんなレベルの”エクササイズ”ははじめています。

できるだけ何かを変えないで減量する。でも、変えるべきことがあって、それが他の何かで代替できないことであれば、それは受け入れないといけない。

これが僕のダイエットに臨むスタンスです。


絶対にこれだけはやらなければいけない。そういう要素を見極めるために、カラダのことをもっと知りたいと思っています。