ダイエット 食事 時間

[ダイエット食事法] ブログ村キーワード
できるだけ楽して減量したい。
苦しいダイエットはイヤ。
リバウンドもしたくない。
こういう都合のいいことを考えているのですが、食事の時間を意識するとこんなぐうたらな減量作戦でも成功の可能性を高めることができそうです。
「時間」とは、ここでは以下の2つの意味を持ちます。
1.食事にかける時間
2.食事と食事の間の時間
結論を先に書くと、同じ食事内容ならば、食事にはゆっくり時間をかける方がよく、食事と食事の間は短時間の方がよいのです。そのためには1回の食事量を減らして食べる回数を多くします。たとえば、1日3回の食事を1日5回にします。これで、ダイエットをやめたあとにリバウンドしにくくなります。
人の活動エネルギーは、主に炭水化物(糖質)と脂質から供給されます。どちらも(摂る)(蓄える)(使う)の3段階で相互に関係をもちながら、過不足なくすべての体内組織にエネルギーが分配されるように調整されています。このエネルギー分配システムには脳をはじめホルモンや酵素、自律神経などいろんな要素が関わっていますが、バサッと単純化するとシステムの司令塔は肝臓で、調整の指標となるのがグルコースの血中濃度を示す血糖値です。
そこで、肝臓と血糖値を中心にカラダのエネルギー調整の仕組みをまとめてみました。こうすると、なぜゆっくりと何回も食事を摂るのがいいのか、がわかります。
グルコースは炭水化物(糖質)を分解した最小単位の糖で、ブドウ糖とも呼ばれます。
食事をすると糖質が消化吸収され、グルコースにまで分解されて肝臓から血中に放出されます。食事をはじめてからしばらく経つと血糖値は十分に高くなり、血中のグルコースで全身に必要なエネルギーをまかなうともに、一部のグルコースは、グルコース分子が複合したグリコーゲンの形で骨格筋に蓄えられます。グリコーゲンは肝臓にも一定量が備蓄され、肝臓と筋肉に蓄えられるグリコーゲンの量は、ほぼ1日分のグルコース消費量に相当します。
肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、食後に時間が経って血糖値が下がるとグルコースに分解されて血中に放出され、全身を巡って必要な組織に配布されます。肝臓のグリコーゲンは、血糖値を維持し、必要な組織にエネルギーを届けるために使われます。一方、骨格筋に蓄えられたグリコーゲンは、その筋肉を動かすのに使われ、再び血中に出てくることはありません。
脂質は脂肪酸とグリセロールに分解され、脂肪酸がエネルギー源として使われます。脂肪酸を使うには酸素が必要です。そこで脂肪を燃やすには有酸素運動だといわれるのですが、わざわざ有酸素運動をしなくても、脂肪酸は常にエネルギー源として使われています。たとえば心臓と腎臓は脂肪酸が主なエネルギー源ですし、ほかの内臓もふだんから脂肪酸もエネルギー源として使っています。もちろん、どの組織でも酸素がいっしょに使われています。
脂肪酸もグルコースと同様に、肝臓から血流に乗って全身に配布され、必要なところでエネルギー源として使われています。使われなかった脂肪酸は再度グリセロールと結合して脂質に戻り、脂肪細胞の中に蓄えられます。これがダイエッターが減らしたい中性脂肪です。
食後、肝臓と筋肉に蓄えられるグリコーゲンの容量がいっぱいになってもまだ血糖値が高いときは、血中のグルコースが優先的にエネルギーとして使われるとともに、脂肪の分解が抑制され、血中の脂肪酸は脂肪に再合成されて将来のエネルギー源として脂肪細胞に取り込まれます。
グリコーゲンとちがって、中性脂肪には貯蔵限度がありません。100日分でも200日分でも蓄えることができるのが中性脂肪です。
脂肪酸は水溶性ではないため、血中に溶けて脳内に入ることができません。そのため、ふだんの脳は水溶性のグルコースをエネルギー源にしています。また、赤血球はグルコースしかエネルギー源として使えません。だからグルコースが枯渇すると、脳と赤血球が機能不全になって生命の維持が危うくなります。
そこで、カラダは二重三重のセーフティネットをもっています。
血糖値が下がって筋肉や内臓などの組織に必要なグルコースが行き渡らなくなると、まず肝臓に蓄えたグリコーゲンがグルコースに分解されて血中に放出され、血糖値が維持されます。しかし、何かの理由で食事などから糖質が補給できないと、いずれ肝臓のグリコーゲンも失われてしまいます。
そうなる前に、肝臓ではグリコーゲン以外のものからグルコースをつくりはじめます。糖でないものから糖を作るので、この機能は「糖新生」と呼ばれています。
糖新生の材料となるのは乳酸、グリセロール、アミノ酸などです。それぞれ常時体内に存在している材料ですが、糖新生は大量生産が効かないため、体内ではグルコース以外のエネルギー源が使えるように調整がはじまります。あわせて筋肉を構成するアミノ酸も糖新生に流用するため、筋肉が分解されるようになります。
脂肪酸を使うエネルギー体系は、脂肪酸をエネルギーとして利用するひとつ前の工程が糖新生の経路にもなっています。そのため糖新生が優先されると、肝臓ではこの工程が進まなくなって脂肪酸が使えなくなるため、脂肪酸はケトン体と呼ばれる物質に変換されるようになります。ケトン体は水溶性なのでグルコースに代わって、脳をはじめさまざまな組織で使えるエネルギー源になります。
糖新生を行わない組織では、グルコースが足りなくなっても脂肪酸を使うエネルギー体系はそのまま働いています。グルコースの分も脂肪酸でカバーできる組織では、そのように調整されているでしょう。
糖質が外部から長期に渡って補給されない場合、グルコースを使うエネルギー体系もエネルギー源をグルコースからケトン体に移行して、主要なエネルギーをほぼ脂質でまかなうようになります。この段階になると、肝臓のほか腎臓でも糖新生が活発に行われるようになります。
以上をまとめると次のようになります。
1.食事で血糖値が上昇する
↓
2.肝臓と骨格筋でグリコーゲンを貯蔵する
中性脂肪を合成してエネルギーを備蓄する
↓
3.血中のグルコースが消費され血糖値が低下する
↓
4.肝臓のグリコーゲンを放出して血糖値を維持する
↓
5.外部から糖質の補給がなくグルコースの枯渇リスクが高まる
↓
6.肝臓で糖新生を開始する
↓
7.外部から依然として糖質が補給されず糖質欠乏が続く
↓
8.糖新生を継続しつつ筋肉も分解しはじめる
ケトン体を産生する
↓
9.外部からの糖質補給が途絶えたままで糖質欠乏がさらに続く
↓
10.糖新生を継続しつつ、筋肉の分解は抑制する
グルコースに代えてケトン体を使いはじめる
1から3は、食事をはじめてから糖質が消化吸収されて全身に分配されるまでの数時間におこります。同じ食事量なら、急いで食べるほど短時間で血糖値が上下し、変動幅が大きくなります。2で余分なカロリーとして蓄えられる脂肪量は、血糖値のピークが高いほど増えるので、早食いをすると一時的であっても、中性脂肪をカラダに蓄える量が増えやすくなります。ダイエットでアンダーカロリーを維持している場合でも、食後に血糖値が上がりすぎると、血中のグルコースは余分なカロリーとして中性脂肪に変換されてしまいます。
ダイエットせずに毎日しっかり食事を摂って健康的な生活をしていても、夕食以降翌朝までは比較的長い時間にわたって外部からの糖質補給が途絶えるため、8のように若干のケトン体が産生される程度の糖質欠乏は常態としておきています。ダイエットでアンダーカロリーにしているなら、糖質が欠乏する時間はさらに長くなります。次の糖質が入ってくるまで時間がかかると、糖新生が継続する時間も長くなり、分解される筋肉量も増えます。
1日を通して足りないカロリーの埋めあわせには中性脂肪も充てられるのですが、糖新生から得られるグルコースも使われるので、いったん脂肪になったカロリーを使い切るには、それ以上のカロリーを消費する必要があります。
だから、血糖値を上げすぎて中性脂肪を多くつくらないこと、血糖値をできるだけ維持して糖新生をさせないことが大切です。そのために、ゆっくり食べること、同じ量を何回にもわけて食べることが役立ちます。
時間をかけて食べれば、食事がゆっくり消化されて血糖値が上がりにくく、ある程度の血糖値をより長く維持することができます。血糖値がそこそこあれば、肝臓のグリコーゲンに手をつけなくても済み、ひいては糖新生がはじまる時間を遅らせることができるでしょう。
食事の回数を増やして食間を短くすれば、肝臓に備蓄しているグリコーゲンが足りなくなって糖新生がおこる前に次の糖質を補給することができます。
アンダーカロリーを維持しているときは、糖新生はおこりやすいと思います。だからこそ、筋肉を維持するために運動すること、とくに筋トレのようなトレーニングが推奨されているのだと思います。
でも、食べ方=食べる時間をちょっと変えるだけで、血糖値の変動をおだやかにして脂肪に転換されるカロリーを減らせること、糖新生による筋肉の分解を減らす可能性があることは、ものぐさな減量を目指す僕には嬉しい発見でした。
体内で確実におこっている糖新生とのつきあい方が、楽して減量するのにはカギになるようです。
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2017年03月01日