フコース

日本農芸化学会2017年度大会では
もうひとつ注目すべき研究が発表されていました。
これは東京大学大学院農学生命科学と
焼津水産化学工業株式会社の共同研究によるもの。
詳細はこちらからご覧になれます。
↓
褐藻成分フコースが哺乳類の肥満を予防
マウスを使った実験により、フコースの摂取で
◯ 高カロリー食による肥満を抑制する
◯ 内臓脂肪の蓄積を予防する
◯ 脂肪細胞や肝臓で脂肪分解を促進する
ということがわかりました。
研究チームは、フコースが
脂質の代謝を制御して
内臓脂肪の増加を主因とする体重増加を抑制する
と考えています。
フコースというのは昆布やワカメ、モズクなどの
褐藻類という海藻に含まれる成分で
グルコースと同じ単糖のひとつだそうです。
海藻の中でも茶褐色の海藻を褐藻類というそうで
そういえば、同じ褐藻類のアカモクも
脂肪燃焼効果がある、という話でした。
こちらの記事
↓
アカモク
このときは食べて痩せる食品があるのか!!
と驚いたものです。
アカモクにはフコキサンチンという色素が多くあって
これに脂肪燃焼効果があるという話でした。
フコキサンチンはアカモクに多く含まれていますが
昆布、ワカメ、モズクにもあります。
海藻の赤褐色の色味はフコキサンチンだそうです。
フコースとフコキサンチン。
何か似ていますね?
この関係を調べてみると
フコースに硝酸基が結合したものがL-フコース。
これが数十個から数十万個連なると
食物繊維のフコイダンになり
フコイダンに微量結合している色素が
フコキサンチンということでした。
フコイダンという食物繊維は1990年代に
抗癌効果があると期待されて盛んに研究されましたが
その効果は実験室の域を出なかったようです。
フコキサンチンの脂肪燃焼効果に関しても
2006年以降は研究論文が出ていないので
それほど研究が進んでいないようでした。
研究が進まない理由はどうやら
フコキサンチンという物質が壊れやすいこと
にあるようです。
フコキサンチン単体で抽出すると
わずかな時間で分解して失われてしまうため
フコキサンチンのサプリや医薬品をつくるのは
現時点では難しいのだそうです。
フコイダンやフコキサンチンは注目されながら
医薬品やトクホ、機能性表示食品というカタチには
今のところなっていません。
フコースはどうでしょうか?
3月にマウスの実験結果が発表されたところですから
人への効果はこれからの検討事項でしょう。
毒性のチェックや必要摂取量の設定など
やることはいろいろあります。
もしかするとアカモクの脂肪燃焼効果も
フコースがもたらしているのかもしれません。
また、フコースの効果は腸内フローラと関係あるのか
関係ないのか。
気になることはいろいろあります。
医薬品とかサプリのカタチで利用できるのは
あるとしてもまだ先の話とは思いますが
今後の研究成果を期待したいですね。
いずれにしても
海藻類はダイエットにいい食べ物だ
ということは間違いがなさそうです。
とくに褐藻類は意識して摂りたいですね。
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2017年05月22日